市街化調整区域の謎
『私も無印良品の家に興味あってん!』という友人とお茶するついでにいろいろ資料をあげたのです。
無印の家のことだけじゃなくて、家を買うなら云々の本も引っ張りだしたので、おさらいついでに読んでいたのですが、その中で『市街化調整区域には注意!』という記述がありました。
ん?うちたしか調整区域やったのでは???
と思って契約書を見たところ、やっぱりそうだったのです。で、不安がわいてきたので少し調整区域について調べることにしました。
■ 市街化調整区域とは
建物を建てるときには、都市計画法という縛りがあるようなのですが、その第7条の3に市街化調整区域について書いてありました。
>3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。
景観とか農地とかの関係で、あんまり市街化してはいけない土地があるらしい。ほぅ。知りませんでした。それでメリットデメリットをちょっとだけ調べてみることにしました。
・デメリット
なにを建てるにしても役所の開発許可がいる。
(ただし、市街化調整区域内で農林業をしてる人の生産施設や住居、公共施設を建てる場合には許可はいらない)
参考:市街化調整区域内の条例による開発可能区域指定等開発許可に関する基礎知識 | 公益財団法人不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)
・メリット
税金が安くなる
参考:
ほぅほぅ。で、それがどういうときにトラブルになりがちで、気をつけろと住宅雑誌に書かれているのか?という事案が↓
簡潔にいうと、農家の人が建てた家を中古で購入したときに、すぐには建て替えができない場合があるということみたい。(リフォームはできるんかな?)
難しいことはわかりませんが、こういうことだけ把握しました。
■ ほななんで家を建てられるのか
ここまできてさらに疑問です。ワタシたちの家を含めて、新居の周りは新規の分譲地なのです。バリバリの新築物件まみれやん。これはどういうことなのでしょうか?先ほどの文献などを読んでみると、こんな風にかいてあります。
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Q、市街化調整区域内においても、都道府県等の条例で、あらかじめ開発・建築が可能な区域を指定することができ、すでに区域指定がなされたところもあると聞くが、本当か。
ーA、本当である(たとえば、熊本市・埼玉県:都市計画法第34条第11号・第12号)。(中略)なお、この熊本市・埼玉県以外にも、すでに条例化(区域指定)がなされている都道府県がある可能性もあるので、念のため各都道府県の担当窓口に確認されたい。
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で、都市計画法第34条第11・12号
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十一 市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であつておおむね五十以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、政令で定める基準に従い、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村の区域内にあつては、当該指定都市等又は事務処理市町村。以下この号及び次号において同じ。)の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為で、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの
十二 開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で区域、目的又は予定建築物等の用途を限り定められたもの
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なるほど、わからん。それでもう破れかぶれに『大阪府 都市計画法第34条』で検索をかけてみました。で、出てきたのがこのページ↓
大阪府/都市計画法第34条第11号の条例で指定する土地の区域・予定建築物の用途
あ!これや!ここにばっちり名前が載っている!というわけで、新居の地域は『市街化調整区域の中の特例の地域』ということがはっきりしました。なるほどなるほど!いやーこれでかなりすっきりしました。
■ 担当者さんたちの発言の謎
ここまで調べて糸がつながったことがあります。まず土地屋さんの言ってたこと。
・ここは市街化調整区域のなかの特例なんです~
→上記のとおり都市計画法で定められてますよ、ということ
・45坪以下では(土地面積を)くぎれないし、建蔽率も50%以下にはできないんです~
→先ほどの大阪府のページから、都市計画法第34条第11号に基づく開発行為等に関する技術基準というページに移動できるのですが、そこにこう書かれています。
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<前略>
(一戸建専用住宅等の規模等)
第3 予定建築物が一戸建専用住宅及び第1種低層住居専用地域内に建築することができる兼用住宅(建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第130条の3に規定する住宅をいう。)(以下「一戸建専用住宅等」という。)である場合は、次の各号にいずれにも該当しなければならない。
ただし、建築基準法及び同施行令並びに大阪府建築基準法施行条例及び同施行規則の緩和規定の適用を受けることができる場合はこの限りでない。
なお、開発許可にあたっては都市計画法第41条の規定により、建築許可にあたっては同法第79条の規定により、下記の建ぺい率等の制限を定めるものとする。
(1) 建ぺい率は、50%以下であること。
(2) 容積率は、100%以下であること。
(3) 高さは、10m以下であること。
(4) 外壁の後退距離は、敷地境界線から1m以上であること。ただし、幅員12m以上の道路(以下「幹線道路」という。)に接する場合の外壁の後退距離は、原則として、道路境界線から2m以上であること。
(一戸建専用住宅等の敷地)
第4 予定建築物が一戸建専用住宅等の場合の敷地は、次の各号のいずれにも該当しなければならない。
(1)敷地面積は、150平方メートル以上であること。
<後略>
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『150 ㎡ = 45.38 坪 = 90.59 畳(中京間)』とのことなので、45坪以下には区切れない、ということなのでしょう。ハー、なんでも調べてみたらわかるもんなんですね。へぇー。
で、まいどおなじみイチオさん
・地主さんが有力者だったんでしょうねぇ~
→農地として使っている間は市街化調整区域に該当しているため税金が安く、いざ売る段になると特例地域の認定を受けて住居として販売しやすくしたのでは?という推測をしはったのかと。
いやぁ、今までサラッと流していたことが全部つながって、自分的にはかなりスッキリしたのです。とはいえ、こんなけめんどくさい法律とかがあるなら、中古住宅に手を出さなくてほんとによかったなぁって思いました。
友人は中古のマンションに住んでいるのですが、住宅ローン控除受けられへん物件やってさーと言っていて、初めて『住宅ローン控除って条件あんの!?』とも思いましたし、ほんとうに素人が手を出すのにはハードル高すぎるぜ中古住宅…!
とにかく新居の土地にはなんの問題もないのはわかりました。しかし、第34条11号が将来的に取り消されたりしないか、動向には注意する必要がありそうです。